2010年08月01日

Pulp / Charles Bukowski (1994)

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ブコウスキーっちゅう作家は有名なんかどうなんかわからないけど、そこそこ翻訳は出ている。ワシが読んだのはこの作品と"Post Office"だけなので、そんなにハマってるてわけではない。

"Bukowski : Born into This" 「ブコウスキー:オールドパンク」ってドキュメンタリー映画が日本でも公開されてる。一部の読者に熱狂的に支持されるカルト系作家というかんじではある。 「酒と女の桂冠詩人」というかんじですか。


で、この作品なんだけど、メチャクチャな探偵小説。なんせ献辞が"Dedicated to bad writing"だもんな。まともなミステリを期待したら「なんじゃこりゃ!」と怒り出す人もいるかもしれない。しかし、ただの読物としてなら、実に面白い。探偵小説の定石どおり、美女が事件の解決を依頼してくる。またその事件というのがなんだかよくわからない。で、主人公である探偵は何もせずに呑んだくれて競馬場に入り浸ってるウチに勝手に事件のほうで解決してゆくのである。

冒頭で"I want Celine.I've got to have him"とセリーヌを探すよう依頼されるのだけれど、セリーヌというのはフランスの作家のこと。反ユダヤ的作品を書き、第二次大戦後は亡命生活を余儀なくされ、亡くなった際には司祭に葬儀の執行を拒否され、墓にはひとこと"Non"と刻まれたとか。ちなみのこの人の全集を読めるのは世界で日本だけである。国書刊行会つうとこから出ていて、ワシも欲しいのだけどなんせ高いんでなあ。

まあそれはともかく、文句なく痛快で面白いのを、というのであれば絶対のオススメ。英語はめちゃくちゃ簡単。リズムがよくて、原書で読んでる快感を得られます。ちなみにこの作品は柴田元幸氏が翻訳し新潮文庫からでていた(絶版)。高橋源一郎曰く、「90年代最高の翻訳」らしいけど、残念なことですね。

whenwewereorphans.jpg
さて、この作品は「探偵小説のフリをしたブンガク」というかんじなんだけど、ワシが読んだなかでは、Kazuo Ishiguroの"When We Were Orphans"(「わたしたちが孤児だったころ」)もそんなかんじ。いっけんオーセンティックな探偵小説の装いではあるけど、仔細に読むとカリカチュアであることがわかる。謎解きのプロットが荒唐無稽だしなあ。この作品をミステリとして読んで「なんだこれは」と怒ってる書評をネットでちょこちょこ見かけるけど。割り切って読めばなかなか面白い作品だと思うんだけどな。
posted by デンスケ at 09:11| Comment(4) | オススメペーパーバック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月25日

The Bottoms / Joe R Lansdale

ランズデールって作家はシリアス・おふざけ・ホラーと芸域の広い作家で、角川文庫が
貧乏白人ハップ&ホモ黒人レナードのコンビが活躍するシリーズを出していて(10年位前?)、
これはおふざけ路線でした。でももう絶版みたいですね。残念。

早川が翻訳を出しているのはどちらかというとシリアス路線。
The Bottoms (2000)
thebottoms.jpg

2001年度アメリカ探偵作家クラブ最優秀長篇賞ほか4部門を独占、つうわけで秀作の誉れ高い作品。
ワシはPBを読み始めた最初の頃に読んだのだけど、面白かったです。ミステリとしては、
そんなにあっというような作品ではないけど、心に沁みる作品ですな。
舞台は戦前のテキサス。主人公の少年時代の追想なんだけれど、ある日愛犬のトビーと
森に出かけ、はぐれてしまう。そして少年が廃屋で見つけたものは・・・というわかりやすい
始まり方です。ラストのしめくくりも見事。ちょっとキングの「グリーンマイル」みたいで。

この作家は文章が上手いと思う。過不足なく、テンポよくストーリーが展開する。
かんじとしてはアメリカの高校生の必読書"To Kill a Mockingbird"に似てますな。あっちはもっと
文章が難しいですけど。こういう語り口の上手い作家を読んでいると、自分の英語力が向上した
錯覚に陥ります(笑)。なにか面白くて読みやすいのをお探しの方にはピッタリです。

afinedarkline.jpg
この作家には、似たような少年モノの作品として"A Fine Dark Line"というのがあって、
こっちもオススメ。ちょっと哀切に過ぎるという気もしますが、いい作品で
プロの仕事、というかんじ。

susetandsawdust.jpg

もうちょっと大人向けの活劇っぽいのでは"Sunset and Sawdust"つう色っぽい女性が活躍する
作品もあります。いずれも読みやすくて、ワシのイチオシ作家です。ミステリファンなら、
いやそうでなくても、ぜひどうぞ。オモロイで。
posted by デンスケ at 18:34| Comment(10) | オススメペーパーバック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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