2011年01月22日

Just Kids / Patti Smith

288p、読了。いやあ、シンドかったです。ノンフィクションだから、これというストーリーがあるわけではなく、背景事情を知らないと英語はわかっても意味がさっぱりわからないっつう辛さがあります。というわけで、かなり読み飛ばし。

just-kids.jpg

PBを読んでいて分からないところがあっても、それが語学力の不足なのか背景知識の不足なのか分からないことはよくある。例えば将棋の観戦記など、いくら日本語に堪能であってもどだい将棋が分からなければさっぱり意味がわからない。なのでどんどん気にせず読んでいくべし、というTipsを読んだことがあって、この本なんかまさしくその部類でしょうね。

Patti Smithは70年代の「パンクロックの女王」ということは知っていた。それだけ。パンクロックが日本に紹介され始めたのは70年代後半だと記憶しているが、その頃は受験で忙しく、大学に入った後はフュージョンブームであまりロックは聴かなくなっていた。Patti Smithのメジャーデビューは1975だから、まだワシは高校生だったけどLZやYesを聴くのに必死なただのミーハー。むしろ、ただの高校生がPatti Smithカッコいいぜ、なんていってたら相当早熟だったに違いない。(情報の伝わり方が格段に遅かったから、んな高校生などいなかったろう。)

で。名前は知ってるもののパンクってことで敬遠してました。(顔にピン刺すとか痛そうだし。しかしPatti Smithがneedlephobiaってのは少し可笑しかった。)

この本は、パティがその恋人の写真家、Robert Mapplethoropeを回想した作品。1967、二人はほんの偶然から出会い、恋に落ちるがすぐに恋愛感情は薄れていく。しかしアーティストになるんだという共通した同志愛からか、距離を置きながらも付き合っていく。1975のメジャーデビュー作、"Horses"のジャケ写は彼の撮影によるものです。



ロバート・メイプルソープとの出会いから、NYでのボヘミアン生活、そしてデビューに至るまでの時期を主に描いています。1967〜1973くらい。ロバートは1989、AIDSで死去。この作品は生前の彼の「僕たちのことを書いてほしい」という頼みを20年がかりで実現したもの。

ワシは演劇やら美術、写真やらはまったく疎いので正直半分くらい書いてあることが分からず、この辺はさっさと飛ばした。J・ジョプリンやジミヘンとかも出てきます。ジャニスがコンサート後の打ち上げで美青年をずっとはべらせていたのに、最後に美青年はかわいい女の子を誘ってトンズラ、ジャニスは置いてけぼり。ジャニスは「いつもこうなのよ」と泣きながらパティに訴える。

ひとりホテルの部屋に残されるジャニスはパティに訊ねる。

"How do I look?"
"Like a pearl," I answered."A pearl of a girl."

ちょっとビックリしたのが、サム・シェパードと恋仲だったってこと。あの男前かい。正直、可愛い顔立ちとはとてもいえないパティなんだけど。実際、こんな表現がある。

"My farther was concerned that I was not enough attractive to find husband..."

しかし若い頃の写真を見ると意志的な、射るような視線が非常に印象的で美しいなあ、と思います。

サム・シェパードがもともと劇作家だったのは知ってたけど、Holy Modal Roundersというバンドのドラムを叩いてたってのもビックリ。「イージーライダー」のなかで使われてる"If you wanna be a bird"って曲しかしらないけど。パティ・スミス→サム・シェパード→工藤夕貴→井沢八郎と連想がつながり、NYパンクシーンと「ああ上野駅」も案外近いもんだなと思いました。

英文は、ロックンロールスターの自伝だから簡単で俗語だらけだろ、と思ってたら大違い。落ち着いた上品な表現が多い。もともと詩人で、音楽はそれからですし。単語も洗練されたのが多いような。

なかなか面白かったですけど、半分以上わからなかった。これが全米図書賞を得たのは、文章もさることながらアメリカ人の共通した認識事項を回想してるってことでしょうね。ところどころにハッとするような表現があるのですが、知識がないのであんまり分からないや。

作品名の"Just KIds"は、二人が出会い、NYのワシントンスクエアで遊んでいるときのエピソード。

"Oh,take their picture," said the woman to her bemused husband,"I think they're artists."
"Oh, go on," he shurugged. "They're just kids."

posted by デンスケ at 21:32| Comment(8) | PB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月17日

The Long Fall/Walter Mosley

306p、読了。

thelongfall.jpg

Mosleyは大のお気に入り作家(というかEasy Rawlinsモノの大ファン)。
黒人私立探偵、Easy Rawlins シリーズは第一作の「青いドレスの女」がデンゼル・ワシントン、ジェニファー・ビールスで映画化されている。「青いドレスの女」は主人公Easyが第二次大戦のヨーロッパ戦線から復員し、市民生活を始めるところから始まっている。その後、シリーズは時代を経て1968年くらいを背景として(第8作くらい?)に終了。

かなりの人気シリーズだったはずだけど、日本では中途で翻訳が途絶。謎解きよりは事件の背景の風俗や社会情勢を反映したストーリー展開が面白い。ワシは大戦後のアメリカ文化に非常に興味があったので面白く読んだけど、そんなのに興味のない普通のミステリファンにはツマラナイのか、日本ではまったく人気が出なかったようだ。

Mosleyもアフリカン−アメリカンで、この作品も当然黒人が主人公。私立探偵モノはミステリ数あれど意外と少ない。しかもハードボイルドとなると本当に少ない。(何がハードボイルドかという定義は難しいんだけど。)

この作品も53歳の黒人元アマボクサーの私立探偵が主人公。複数人の身元調査を依頼され、それを報告したところ次々と身元を明かされた人間が殺されていく。また、主人公も危うく殺されるハメに。なぜ、ただの身元調査で命を狙われるのか?というのが基本プロットです。

で。さっぱり面白くなかった。伏線や登場人物が多すぎる。そのワリに基本プロットの謎がなんじゃあそれ?というくらいヒネリがない。読んでいて、何が基本のストーリーか分からないのが致命的ですね。人を探すのも「天才ハッカー」の知り合いを通じてって、安易過ぎる。いやでも「ミレニアム」を思い出す。私立探偵は試行錯誤して謎に近づいていくのが醍醐味でしょうに。

それに主人公を含め、魅力的な人物がでてこない。致命的にツマラナイ原因。

おそらく、続編を想定してるんでしょうね。しかし、第1作ってのは主人公と過去の出来事が絡んで事件の謎に近づいていき、それで主人公を紹介していくのが定石なんだろうけど、この作品では過去を匂わす程度でさっぱり分からず。このシリーズはもう読まないだろうな。あれほど魅力的だったEasyを創作した作家にしてこれである。もう20年も経つから仕方ないのかな・・・。

けさ、というか真夜中の2時くらいに目が覚めた。なんでかいな?と思った。会社に行くまで気がつかなかったけど、阪神大震災の日だった。もう16年。考えは色々あろうけど、仏教だと17回忌やで。忘れることも福音。ワシも実家が全壊し、実家で暮らしてた若いころのモノはすべてなくなった。実家のへんもずいぶん変わったし、思い出の品もいまはほとんどない。それを寂しく思うこともあったけど、そんなこと嘆いていてもしゃあないやん。まして自然災害やし。

Stil, my life goes on. これからですわ。
posted by デンスケ at 20:51| Comment(4) | PB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月02日

Down River / John Hart(2007)

361p、読了。これは面白かったです。いくら正月ヒマとはいえ、面白くなかったらなかなかすすみませんから。

downriver.jpg

主人公Adamは友人の頼みで故郷に戻ってきた。5年前、殺人の疑いで起訴され、その目撃証人は実父の後妻だった。証拠不十分で有罪とはならなかったが、疑惑は晴れていない。また父が義母を信じ、実の息子を殺人者呼ばわりしたことで、故郷を捨てる決心をしたのだ。常に自分を信じてくれた友人の厚情に報いるため、あえて故郷に戻ってきた主人公を待っていたものは・・・。というストーリーです。

"The Last Child"を去年読んだけど、ワシはこっちのほうが面白いと思ったな。筋立てが複雑で、多くの謎が絡んでると思ったからだ。江戸川乱歩賞じゃなかったエドガー賞受賞作であります。

この作家、二つしか読んでないけどワリと早くに事件が起きて、だいぶストーリーが進んだなと思ってもまだ半分くらいでこれからどうするんかいな?と思ったのは"The Last Child"と同じですが、本作のほうが後の展開が早い気がした。"The Last Child"の詩情が好きだという人もいるだろうしそのへんは好みかな。

それと、本作は一人称小説だけど、"The Last Child"は客観描写。どうも自分の読書傾向を考えると、一人称小説が好きなような気がする。イシグロなんか全部一人称だしな。主人公に移入しやすいので、読みやすいのかもね。日本語だとあんまりそんなことは考えないんだけど、やはり母国語でない言語だとそういうもんなのかね。

英語は抜群に読みやすい。端正な文章を書く作家だと思う。グイグイ読んでみたいひとには断然オススメであります。

さて"Jesus'Son"は3つほど読んだ(短編集なのだ)けど、散文詩みたいでよくわからないなあ。ブンガク的というか。かなり俗語・卑語が多くてワリとその方面に強いワシも苦戦中。文章のリズムはへえ、と思うようなフレーズもありますが、味わう英語力はまだアリマヘン。そう考えると、やっぱ翻訳者ってすごいなあと改めて思いました。

しかあし。海外ミステリを読んでると(ワシは国内ミステリ読まないからよくわからんが)、なぜ登場人物は危機に陥るとコトをいたすのでしょう。不思議だ。そんなヒマあるんかと。ワシは殺人事件に巻き込まれたことないから、ワカランな。あれかな、片づけやら引越しやら忙しい最中にどうでもいい昔の新聞記事を読んでしまうようなもんかいな。まあどうでもいいですが。

きのう「相棒」の新春スペシャルをヨメハンが観ていたので、なんかつられてワシも観たけど水谷豊のイメージなあ。あんな取り澄ましたような役柄よりもっと胡散臭いのがええと思うねんけどな。と、「バンパイア」の頃からリアルタイムで観ているワシとしては思うのである。NHKドラマの「男たちの旅路」は絶品だったなあ。それと映画「青春の殺人者」の純役。水谷豊もインパクトあったけど、市原悦子の「純ちゃ〜ん、やろうよ」という呪いのようなセリフがメッチャ怖い映画でしたな。

「家政婦は見ていた」→「純ちゃん、ねえ、やろうよ〜」 コワッ。しかし長谷川和彦の第3作目は流れたらしいですね。

さて本年のPB読書は快調な滑り出し。これからどうなるのでしょう。
posted by デンスケ at 20:31| Comment(8) | PB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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