2011年04月19日

The Wycherly Woman / Ross Macdonald

278p、読了。

wycherly.jpg

富豪の一人娘、フィービが失踪した。父親に依頼され調査を始めた私立探偵、リュウ・アーチャー。なぜか依頼人はその離婚した妻との接触に反対する。しかし、フィービが最後に目撃されたのは母親と一緒にいたところであった。調査を進めるうちに、次々と殺人が起こり・・・。

三大ハードボイルド作家のしんがり、ロス・マクドナルドであります。一般に三大ナントカっつうとひとつは思い出せないもんである。日本三景は松島・天橋立。あとなんだっけ。日本三大大仏は明らかに富山の高岡大仏が無名。日本三大私学といえば、慶応・早稲田は誰でも答えられるけどあとイッコはなかなか出ない。上智?日大?へたすりゃ国際基督教大なんてどこからそんなマイナーなんが出てくるんだよと、忘れられたもういっこの大学出身は思うわけです。

話が逸れた。ハードボイルド界の同志社、ロスマクだな。

この本はもう30年以上前に翻訳で読んだ。一般にロス・マクドナルドの最高傑作というと「さむけ」かこの作品が挙げられるんでしょうな。「さむけ」もそれくらい昔に読んで、あまりにも印象が鮮烈だったので「ウィチャリー家の女」の印象が薄くなりすっかりプロットとか忘れてたんだけど、途中で思い出した。つうか、基本的に同じ設定ですなあ。

それでもやはり面白い作品には違いないですね。律儀に伏線を回収していってがっちりとした作り。ロスマクはチャンドラーの後継者としてよく比較されるけど、チャンドラーが多分にそのときのノリでストーリーを展開しいくジャズっぽいかんじだとすれば、ロスマクは調性と構成を重視するクラシック音楽かな。
と、クラシックはまるっきり知らないクセに知った口を叩いてみたり。

ロスマクはワシがもっとも多く作品を読んだ作家だと思う。長編の翻訳は全部読んでるハズ。後期の作品はどれもおんなじ、つう評価もあって、まあ確かにそうともいえそう。なんでそんなにハマったのかかんがえてみたら、ロスマクの作品の多くを手がけてる小笠原豊樹氏の訳業によるところが大きい気がする。

チャンドラーの清水俊二氏はチャンドラー節の気の利いた翻訳を世に広めたし、稲葉明雄氏の「幻の女」の名訳も有名。しかるに小笠原豊樹氏のロスマクは原作自体がやや派手さにかけるせいか、そこまで有名ではないんだろうな。ワシは原作の雰囲気をかなり忠実に伝えてるなあ、と原書を読んで改めて感服いたしました。しかし主人公リュウ・アーチャーのイメージが記憶とビミョーに異なるのですね。翻訳よりやや攻撃的なかんじ。このへんは感じ方に個人差があるだろうし、ワシの英語力も怪しいもんだから、あんまり本気にせんとって欲しいな、と思いますが。

さて、原作だけど非常に読みやすい英語。簡明、ってかんじ。もうロスマクを読むひともすっかり少なくなっちゃっただろうけど、チャンドラーとは違った意味で名文家だなあと思う。(ワシはチャンドラーは「プレイバック」以外、長編は原書で読み直した。「長いお別れ」ってそんないい作品か、「大いなる眠り」のほうが数段いいやん、と改めて自分の評価を再確認した。案外「「高い窓」っていい作品だなとも思いました。)

ロスマクは文章が非常に読みやすく、誠実な作風なのでクラシック・ミステリとして再評価が進まないかなあ。ワシ個人としてはクリスティとかより格段にいいと思うけど、ワシはいわゆるフダニイットが大嫌いなので偏見入ってるし(笑)。でもまあ、英語の学習用としても本当にいいアイテムだと思いますよ〜。
posted by デンスケ at 21:56| Comment(7) | PB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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