2011年03月15日

Tim O'Brien

なんかブログを書こうとしても、現実の重みからしたらなんとも卑小なことに思えてなかなかその気になれない。所詮おっさんのたわごとなんだから、そんなに考えなくともよかろと思うんだけど、なんだかな〜。

というわけで、時事に関係ないPBネタであります。

ティム・オブライエンは何度か書いたような気がするんだけど、きちんと書いたことはなかったような。
村上春樹が惚れ込んでいる作家で、氏の翻訳でメインストリーム文学系にしては知られているほうだろうか。オブライエンの来歴とかは↓を参考に。(リスニングのよい教材だけど、長すぎる・・・。)



ワシがいちばん最初に読んだのは"The Nuclear Age"で、これが面白かった。

the nuclear age.jpg

核戦争にobsessionを抱く主人公がひたすら自力で核シェルターを掘り進め、自らの半生を回想してゆくって内容。どう面白いかってのは説明するのはなかなか難しいですね。純粋に奇抜な冒険譚としても面白いとは思うけどな。文章は無骨なかんじ。そっけないというか。しかしこの文章でないと成立せんやろな〜とも思う。スティーブン・キングの文章が「書いても書いても書き足りない」強迫観念にとらわれていて、それがゆえにキングワールドを創っているのと少し似たかんじだと思う。

続いて読んだのが"The Things They Carried"。邦題は「本当の戦争の話をしよう」でわかるように、ベトナム戦争を扱った短編集。しかし単にベトナム戦争を扱った作品集というわけでなく、突き抜けた破壊力をもった素晴らしい作品が詰まっている。これは本当にいい作品。アメリカでは国語のテキストになってたり、日本でも教科書に載ってたんじゃなかったかな。

thethings theycarriied.jpg

とりわけ印象に残ったのが "Sweetheart of the Song Tra Bong"という作品。兵士の恋人が前線にやってきて、最後は戦争と一体化していく幻想的な内容なんだけど、怖かったなあ・・・。幻想的な短編小説としては内田百閧フ「旅順入城式」に比肩する読書体験でした。ガツンときまっせ。

それから"Going After Cacciato"(「カチアートを追跡して」)を読んだ。これもベトナム戦争ものなんだけど、脱走兵カチアートを追いかけてしまいにはパリに到着するという奇想小説。1979の全米図書賞受賞作。(あの「ガープの世界」を蹴落とした。「ガープの世界」は翌年受賞。)

goingaftercacciato.jpg

あと二つほど読んだけど、ここでは割愛。ベトナム戦争モノつうことで敬遠される人も多いかもしれないけど、別に全部が全部、戦争の経過を描いているわけではない。むしろ兵士の日常生活やら幻想的なイメージ、また徴兵を忌避した青年の苦悩を描いた作品など多岐にわたっていて興味深いです。

意外と村上春樹キライ、つう人が多いみたいだけど、それはそれとして(笑)良い作品を書く作家だと思います。村上春樹キライならぜひ原書で読んでみてほしい。マジおすすめです。
posted by デンスケ at 07:30| Comment(2) | オススメペーパーバック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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