2011年02月07日

The Coldest Winter / David Halberstam(その1)

657p、読了。ひー。シンドかった。朝鮮戦争(1950.6.25〜1953.7.27)を描いたノンフィクションだけど、本の内容は戦争直前からマッカーサー解任(1951.4.11)までのほぼ1年間にほとんどがさかれている。3ヶ月かかりましたがな。なんせ大作なので登場人物も多く、歴史背景とかも複雑極まる。

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おおむね
@朝鮮戦争が勃発する前夜の国際情勢、アメリカ国内の政治状況、マッカーサーとトルーマンの来歴と軋轢、GHQ(Dai-Ichi-Buildingと表記されている)でのマッカーサーの日常
A戦闘の勃発からめまぐるしく変化する戦況
Bマッカーサーの解任とその後
の3部構成。個々の戦闘の詳細な描写はちとツライもんがあったな。正直そこまでのディテイルはいらん。




朝鮮戦争は
1.金日成は南進の許可をいくたびもスターリンに求めていた。いったん「解放軍」が進入すると韓国内の共産主義シンパが立ち上がりあっという間に韓国は「解放」されると。冷徹なスターリンはそのような夢物語は信じてはいなかったが、しまいに毛沢東が同意すれば構わないと回答する。

2.毛沢東もそのような夢物語は信じていなかったが南進に同意。この時点ではスターリンと毛沢東もアメリカが介入してくるとは計算していなかった。またアメリカも北朝鮮が南進するとは考えていなかった。

3.金日成が南進を開始(1950.6.25)、軍事力に優る北朝鮮軍はあっという間にソウルを陥落させる。7月7日、国連決議により国連軍結成。なんでVetoPowerを持つソビエトが反対しなかった(棄権)のかは謎だとされるが、どうもスターリンはこの時点ですでにボケ始めていたらしい。しかし主体となる米軍はWWU後に兵力を大幅に削減していた。むろん財政上の要請もあるが、なんといっても戦後核兵器を独占してきた(ソ連は1949に実験に成功したばかり)という事情がある。

4.準備・兵力不足の国連軍は連敗し、ついに半島南端のプサンまで追い詰められるがここでなんとか踏みとどまる。一方マッカーサーは伸びきった北朝鮮軍の補給線を断つべく、ソウルのすぐそばの仁川上陸作戦を決行(1950.9.15)。軍事的に極めて難しい作戦であったがこの大博打は成功、戦況は一変する。北朝鮮軍は壊滅、国連軍は38度線を突破し中朝国境の鴨緑江近くまで進軍。

5.金日成から援軍の打診を受けた中国は建国(1949)すぐでほとんどの重鎮が反対するなか、毛沢東が義勇軍(という実質は中国軍)の投入(1950.10)を決断。さきの北朝鮮軍と同じく補給線の延びきった国連軍はあっという間に38度線より南に追いやられる。しかしここから戦況は膠着。



The Coldest Winterという題名が示すとおり、ここからアメリカと中国の血みどろの戦闘が始まるのだけど、この本はほとんどが中国とアメリカの初期の軍事対決を描いている。

なんで初期の戦況がめまぐるしく入れ替わったのかというと、ひとえに極東最高司令官のマッカーサーの肥大したエゴによる状況把握への鈍感さが最大の原因であると。(まあそれだけではないと思うけど。)なんせ戦争勃発前も後もマッカーサーは朝鮮半島に滞在せず、すべて日帰りで東京から指揮していた。

そんでまた前線の指揮官もマッカーサーの劣化コピーともいうべき、ネッド・アーモンド参謀長(マッカーサーの子分)という人物。もともと少ない兵力を分散させるという戦術上のタブーを繰り返し、人海戦術の中国軍にやられっぱなし。ウォーカー将軍が事故死した後に後任となったマット・リッジウェイが戦術を立て直し、その後戦況は持ち直した。

なんでまた戦術上のタブーを犯したかというと、アーモンドの抜きがたい人種偏見があったのだと。つまり、劣等人種であるアジア人なぞ少数のアメリカ兵で十分であり、碌に中国軍の戦術も研究しなかった。リッジウエイ(マッカーサー解任後の連合軍最高司令官)はその点を改めたのだけれど、ただちにアーモンドの首を切るわけにはいかなかった。マッカーサーが後ろに控えていること、またある程度名を得た人物をただちに追い落とすというわけにはいかないという事情があったらしい。

ここを読んで、ああ、組織ってどこもいっしょだなあ、と。キ××イみたいな上司はいるもんである。その下にいる人間は気の毒としかいいようがない。しかし上司がただちに免職されるわけでなく、そのまま、あるいは(まれだけど)閑職に追いやられるのを待つだけ。その間、兵士は次々に戦死してゆくのである。なんつうか、身につまされました。ワシは別に出世してるわけでないから、そんな直接に圧力を受けるようなポジションでもないけどね。

なんつーか、「上司とはどうあるべきか」つうのをノウハウ本でお手軽に学んだのか、もともと威厳ないのに勿体つけるから、ただのうるさいオッサン(あるいはオバハン)になってるようなのいますね(笑)。うるさい人でも自分を厳しく律してるひとには、ちゃんと部下はついていくもんである。

ぶつぶつ。となんだか卑近な感想になっちゃったなあ。もっと高級な(?)感想はまた今度。
大作で、文章は難しいわ(珍しく辞書を引きまくった)、字は小さいわ、読んでも読んでも終わりがないかんじであったけど、やはり征服感があるなあ。TOEICでいうと、Rが10点は上ったかんじ。

近代アメリカ史に興味のあるひとなら面白いと思う。しかし、邦訳(文藝春秋)は原作にない写真を多数挿入していたりしていてなかなかよいらしいですね。図書館で読んでみるかね。
posted by デンスケ at 07:22| Comment(2) | PB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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