2010年05月16日

Set This House in Order : A Romance of Souls / Matt Ruff

479p、読了。なかなか面白い本だった。

Set_This_House_in_Order.jpg

この作家は2010年度「このミス」第4位の"Bad Monkyes"が本邦初訳だとか。
"Bad Monkyes"が面白かったので、ちょっと興味を持ったのだけれど、
いかんせんamazonくらいでしか手に入らない作家だなと思ってたら、神戸
元町のRandom Walk Booksに置いてあったので買ってみたのだ。どうやら、
店主の好みらしい。個人書店はこういうところが楽しいね。

で、どういう作品かというと・・・。

主人公Andrewはシアトルの近くの小さな町で、ビクトリア様式の下宿に
暮らしている。多重人格障害を抱えているが、脳内に家を建ててそれぞれの
人格を住まわせて、勝手に出てこないように制御している。Andrewは専ら
肉体の管理を任されているのだけれど、比較的最近に創られた人格で、
「家」は別人格の「父」(fartherとある)が管理している。他にも多くの
人格がいるのだけれど、この方法で安定した生活を送っている。

ある日、町でちょっと変わった女性Julieと知り合い、Andrewに興味を
持ったJulieは自分が起業したコンピュータゲームの会社に雇う。
ふたりはロマンティックな関係になりかけるのだけれど、結局Andrewは
失恋。しかしJulieは依然Andrewを雇い続ける。

そんなとき、プログラマを探していたJulieは町で偶然見つけた女性、
Pennyを雇い入れる。Pennyはあだ名が"Mouse"、彼女もまた多重人格だった。
PennyはAndrewと異なり、多くの人格を制御する術を知らず、まったく
知らない男と目覚めたりして苦しんでいる。安定しているように見えた
Andrewの生活はPennyが関わることで乱され、「家」も崩壊の危機に。

事態を解決すべく、Andrewは多重人格になった過去を探るため、故郷の
町へ。Pennyも同行し、そこでAndrewが発見した「過去」とは・・・。

わりかし単純な筋なんだけど、AndrewとPennyの多重人格が入れ替わり
立ち替わり登場するから、登場人物の多いこと(笑)。おまけに重要なのは
(以下ネタバレ)Andrewは実は女性で、母親の再婚相手にrapeされたこ
とにより多重人格になったということ。Andrewは義理の父親をその手で
殺したのか?
現実世界と脳内世界が頻繁にスイッチするからわかりにく
いことおびただしい。文章は簡単なんですけどね。

"Bad Monkeys"もそうなんだけど、「当てにならない語り手」の手法を
用いた作品で、考えてみればずいぶんその手の作品は読んでるな〜。
Kazuo Ishiguroの作品は一貫してそうだし。こういうのは「いかに読者
を欺くか」が楽しみなんだけど。

ちょっと長すぎる点を除けば、後半はロードムービーの趣もあり、なかなか。

これで今年、やっと6冊目。月に1冊は読みたいな。
posted by デンスケ at 18:49| Comment(0) | PB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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