2010年05月19日

ロス・マクドナルド

原油流出事故のニュースを見ていて、なんかこういう主題の小説を読んだ
ことあるなあと・・。思い出した。ロス・マクドナルドの「眠れる美女」だ。

大学生くらいのとき、熱心にミステリを読んでた時期があって、特に
お気に入りだったのがロスマク。チャンドラーより好きだった。翻訳は
ほぼ全部読んだと思う。(特に後期の作品は)マンネリ、つう批判があって
まあその誹りは免れないとは思うけど。

なにがそんなにヨカッタかというと、その文章ですね。極限にまで主人公
(探偵)の存在感を薄くして、事件の真相ににゆるゆると迫っていく手法が
ヨイですね。チャンドラーの清水俊二氏ほど世間では称揚されないけれど、
小笠原豊樹氏の訳業は素晴らしいと思う。

原文を読んだワケじゃないんだけど(苦笑)。チャンドラーは原文で読み
直したりしてるんだけどね。手に入りやすいし。ロスマクの原書をタマに
洋書コーナーで見かけても妙に高かったりしていまだに読みそびれてる。
amazonで見たら、"The Chill"「さむけ」を安く売ってるし読んでみたいねえ。
ワシがいまだに最高のミステリと思ってる作品だ。

さてさて、原書を読んで翻訳と比べたりすると妙に訳文がコミットメント
過剰というか、色が付きすぎじゃないの?と思うことがある。ワシが思うに、
原文はおおむねもっとニュートラルなかんじ。しょせん違う言語なんだ
から、モトモト無理な話とはいえ、もう少しすっきり訳せないものかなあ?と思う。

カズオ・イシグロの「私を離さないで」の翻訳は主人公の女性の語り口が
too feminineでどうかな?と思った。このへんの距離の取り方は翻訳者
や読者の好みによるんだろうけどね。

そんな文句いうのなら原文で読めと言われそうですが・・・。
posted by デンスケ at 08:01| Comment(8) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月17日

つぎに読む本は・・・

どうも風邪を引いたみたいで、頭がぼーっとするので忙しいのにかかわらず
さっさと定時で職場からずらかったワシである。ブログ書いとる場合か。

しかし昨日読了した本は面白かった。ひさびさに満腹したかんじ。
なんというか、ガツンとくる本を読むと俄然読書欲が湧いてきますね。
他の作品を読みたくなって検索してみたら"Sewyer,Gas & Electric"と
いう作品が面白そう。amazonで注文するかな。

しかし、家に山ほどある挫折本をどうするのか。アホみたいにあるぞ。
・Invisible Man / Ralph Ellison
・Lolita / Vladimir Nabokov
・Blonde / Joyce Carol Oates
・The Little Sister / Reymond Chandler
・The Volcano Lover / Susan Sontag

ぜひとも読んでみたい本だけでもこれだけ。バーゲンとかで買ってまだ
読んでないCarl Hiaasenの小説もあるしな。チャンドラーなら短いから
なんとかなりそうだけど、他はなかなか手強そうである。これだけあれ
ば、優に今年は過ごせそう。

それにRichard Powersとかも読んでみたいが、この作家はかなり手強い
とかで挫折するのは日を見るより明らか。いつの日か、読めるくらいの
英語力を身につけたいものよのう。

で。和書の話題がさっぱりないではないかといわれそうだけど、実際に
読んでないしなあ。最後に読んだ日本語のフィクションって岩波文庫の
「聊斎志異」「唐宋伝奇集」でこれは中国の志怪モノ。しかも3年前。

「1Q84」も読む気しないなあ。昔は村上春樹の熱心な読者で、デビュー
直後の「貧乏な叔母さんの話」なんてから読んでるのに。「国境の南、
太陽の西」あたりでうん?となり「ねじまき鳥クロニクル」で完全に
アウト。どうも氏の方向性についていけないみたいである。

このへんが読めなくなったのは歳いったせいかな?と思っていたのだ
けど(なんだかんだいって、オッサンがいちばん本を読まないと思う)
まあまだ自分にも読書欲が残っていたのを確認できてこれはウレシイ。

次に読む本が面白ければいいけどね・・・。

「本はカバーで判断しちゃいけません」
posted by デンスケ at 19:44| Comment(5) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月16日

Set This House in Order : A Romance of Souls / Matt Ruff

479p、読了。なかなか面白い本だった。

Set_This_House_in_Order.jpg

この作家は2010年度「このミス」第4位の"Bad Monkyes"が本邦初訳だとか。
"Bad Monkyes"が面白かったので、ちょっと興味を持ったのだけれど、
いかんせんamazonくらいでしか手に入らない作家だなと思ってたら、神戸
元町のRandom Walk Booksに置いてあったので買ってみたのだ。どうやら、
店主の好みらしい。個人書店はこういうところが楽しいね。

で、どういう作品かというと・・・。

主人公Andrewはシアトルの近くの小さな町で、ビクトリア様式の下宿に
暮らしている。多重人格障害を抱えているが、脳内に家を建ててそれぞれの
人格を住まわせて、勝手に出てこないように制御している。Andrewは専ら
肉体の管理を任されているのだけれど、比較的最近に創られた人格で、
「家」は別人格の「父」(fartherとある)が管理している。他にも多くの
人格がいるのだけれど、この方法で安定した生活を送っている。

ある日、町でちょっと変わった女性Julieと知り合い、Andrewに興味を
持ったJulieは自分が起業したコンピュータゲームの会社に雇う。
ふたりはロマンティックな関係になりかけるのだけれど、結局Andrewは
失恋。しかしJulieは依然Andrewを雇い続ける。

そんなとき、プログラマを探していたJulieは町で偶然見つけた女性、
Pennyを雇い入れる。Pennyはあだ名が"Mouse"、彼女もまた多重人格だった。
PennyはAndrewと異なり、多くの人格を制御する術を知らず、まったく
知らない男と目覚めたりして苦しんでいる。安定しているように見えた
Andrewの生活はPennyが関わることで乱され、「家」も崩壊の危機に。

事態を解決すべく、Andrewは多重人格になった過去を探るため、故郷の
町へ。Pennyも同行し、そこでAndrewが発見した「過去」とは・・・。

わりかし単純な筋なんだけど、AndrewとPennyの多重人格が入れ替わり
立ち替わり登場するから、登場人物の多いこと(笑)。おまけに重要なのは
(以下ネタバレ)Andrewは実は女性で、母親の再婚相手にrapeされたこ
とにより多重人格になったということ。Andrewは義理の父親をその手で
殺したのか?
現実世界と脳内世界が頻繁にスイッチするからわかりにく
いことおびただしい。文章は簡単なんですけどね。

"Bad Monkeys"もそうなんだけど、「当てにならない語り手」の手法を
用いた作品で、考えてみればずいぶんその手の作品は読んでるな〜。
Kazuo Ishiguroの作品は一貫してそうだし。こういうのは「いかに読者
を欺くか」が楽しみなんだけど。

ちょっと長すぎる点を除けば、後半はロードムービーの趣もあり、なかなか。

これで今年、やっと6冊目。月に1冊は読みたいな。
posted by デンスケ at 18:49| Comment(0) | PB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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